【コラム13】「不動産投資で節税できる」は誤解?損益通算の落とし穴と実態

「不動産投資は節税になる」と聞いたことはありませんか?
確かに一部の高所得者は、不動産投資は所得税や住民税を抑える手段として活用しています。
しかし、この「節税になる」という認識には、大きな誤解やリスクが潜んでいるのです。
税制の仕組みや投資の実態をよく理解していなければ、期待していた節税効果が得られなかったり、むしろ損をしてしまうケースも珍しくありません。本記事では、「不動産投資=節税」という常識のウラにある真実を明らかにし、損益通算の落とし穴や注意点について解説します。
1.不動産投資と節税の関係性

不動産投資は節税効果が期待できます。
特に「損益通算」により不動産の赤字を給与所得と相殺し、税負担を軽減できるのです。
ただし、制度を正しく理解せずに活用すると逆効果になることもあります。だからこそ、不動産投資の本質と節税の仕組みを知ることが重要です。
不動産投資における節税の基本概念
不動産投資における節税の主な仕組みは、「損益通算」です。
これは、不動産所得に赤字が生じた場合、その赤字分を給与所得など他の所得と合算して、課税所得を圧縮できる制度です。
たとえば、家賃収入が年間100万円で、減価償却費やローン利息などの経費が120万円だった場合、20万円の赤字が発生します。この赤字を年収500万円の給与所得と通算すれば、課税対象となる所得が480万円となり、税額が軽減されるという仕組みです。
特に建物の減価償却費は実際の支出を伴わない「見かけの損失」であり、節税効果が高いとされてきました。
2.節税効果が限定的な理由

不動産投資の節税効果は以前ほど期待できません。
税制改正により損益通算の制限が強化され、減価償却による節税も将来の譲渡税負担を招く可能性があります。だからこそ、制度の変化を理解した上で慎重な判断が必要です。
税制改正による影響
不動産投資による節税は、近年の税制改正により制限が強まっています。特に2021年以降、減価償却や損益通算に関するルールが厳格化され、節税を目的とした赤字計上が難しくなりました。
例えば、土地にかかる借入金の利子は損益通算の対象外となり、不自然な節税スキームが封じられつつあります。つまり、以前のような節税効果を期待して投資を始めると、思わぬ結果を招くリスクがあるのです。
だからこそ、制度の最新動向を理解し、実態に即した投資判断が欠かせません。
減価償却費と譲渡税の関係
さらに見落とされがちなのが「譲渡時の税金」です。建物の減価償却を進めると帳簿上の取得価格が下がり、将来売却した際に譲渡益が大きくなることがあります。
その結果、譲渡所得税(最大約39%)が思わぬ高額になることも。つまり、節税したつもりが、出口で税負担が膨れ上がるという逆転現象が起こるのです。
3.節税目的の不動産投資が抱えるリスク

営業トークに潜む誤解
不動産会社の営業マンの中には、「節税になります」「年収1,000万円以上なら得です」といった甘い言葉で物件購入を勧めるケースもあります。
しかし、こうしたトークの多くは「節税メリット」にフォーカスしすぎており、物件の収益性や将来の資産価値、税務上のリスクについて十分に説明されていないことが多いのです。
キャッシュフローの悪化と持ち出しの発生
節税できても、手元に現金が残らなければ意味がありません。不動産投資では、赤字=税金が減る=得をする、と単純に考えるのは危険です。 実際には、家賃収入よりローン返済額が上回る「持ち出し」が発生し、毎月のキャッシュフローがマイナスになるケースもあります。節税できても現金が流出し続ける状態が続けば、家計に大きな負担がのしかかります。
4.節税効果を最大化するためのポイント

高所得者層における節税の有効性
不動産投資による節税が有効に働くのは、あくまで「高所得者層」に限られます。
税率が高いほど、課税所得を圧縮するメリットが大きいためです。しかし、年収が800万円未満の層では、節税効果よりもリスクの方が上回ることも多く、十分な検討が必要です。
長期的な視点での投資戦略
短期的な節税だけを目的にせず、「物件の収益性」「エリアの将来性」「出口戦略」まで見据えた長期的な視点が必要です。
不動産はあくまで“資産形成の手段”であり、節税はそのついでに得られる効果にすぎません。税理士やファイナンシャルプランナーと連携し、複数のシミュレーションを行うことが望ましいでしょう。
5.まとめ:不動産投資と節税の真実

不動産投資で「節税できる」というのは、決して万能な手法ではありません。税制の仕組みや改正の動向を理解せずに参入すると、思わぬリスクに巻き込まれかねません。
・節税効果には限界がある
・制度改正や出口戦略を無視すると損をする
・営業トークに惑わされず、自分で数字を見極めることが重要
・信頼できる専門家と連携し、長期的な視点で判断する
節税目的だけで始める不動産投資には、多くの落とし穴があります。大切なのは、「何のために投資をするのか」という目的を明確にし、冷静かつ慎重な判断を下すこと。節税は手段であり、目的ではないことを忘れてはいけません。
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